2020年新年のごあいさつ 中村理事長

霊山歴史館開館五十周年 令和の新時代にさらなる飛躍を

明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、ご家族ともども清々しい新年をお迎えになられたことと心よりお慶び申し上げます。

今年は幕末維新ミュージアム 霊山歴史館が開館して五十周年にあたります。ご承知の通り、歴史館の運営母体である霊山顕彰会は、「幕末維新の志士たちの精神や功績を後世に継承・発展させる」ことを目的として、昭和四十三年に創設されました。
当初は、霊山墓地や参道の整備が中心でしたが、二年後の昭和四十五年に事業拡大を図ります。参拝者に、少しでも先覚者の志に触れていただきたいとの思いから、日本初の幕末・明治維新の総合博物館である霊山歴史館を開館いたしました。初代館長は、顕彰会初代会長でもある松下幸之助です。
今年で半世紀を迎えることができましたのは、ご来館いただいたお客様はもちろんのこと、長年にわたりご支援いただきましたご関係の皆様のお陰であります。心より厚く御礼申し上げます。

この節目にあたり、霊山歴史館が開館した昭和四十五年と令和二年を、「代表的行事」「観光」「幕末」の観点から比較することにより、五十年の重みを再認識し、新たな船出にあたってのよりどころにしたいと存じます。

まずは、昭和四十五年です。「代表的行事」は日本万国博覧会(大阪万博)です。日本の高度経済成長を象徴するイベントとして開催されました。
「観光」では、日本国有鉄道(国鉄)が「ディスカバー・ジャパン 」キャンペーンを展開。国鉄提供の番組「遠くへ行きたい」の出演者である故永六輔氏が作詞した同名の主題歌は国民の旅情をそそりました。
「幕末」では、司馬遼太郎原案の映画「幕末」が公開されました。中村錦之助(坂本龍馬)、三船敏郎(後藤象二郎)、仲代達也(中岡慎太郎)、吉永小百合(お龍)と銀幕の大スターが出演しました。
このように、経済成長を遂げた当時の日本とその礎となった幕末を同時に発信した年に、霊山歴史館が開館したことになります。
 
対して、令和二年です。「代表的行事」は東京オリンピック・パラリンピックです。今大会では特にインバウンド需要の拡大が見込まれます。京都も少なからずその恩恵を受けると思われますが、同時に交通渋滞、ゴミ問題、マナー低下などのオーバーツーリズムを敬遠した日本人観光客の減少という新たな課題も発生しています。
東山という屈指の人気観光地に立地する霊山歴史館も、インバウンドによる負の影響が懸念されますが、逆転の発想で、外国人にも幕末維新にご興味をお持ちいただけるよう、刀剣、錦絵、工芸品など展示にも工夫を凝らし、新たな時代に対応したいと存じます。
くしくも、霊山歴史館の隣で、かつての「山荘 京大和」のリニューアルオープンに合わせ、ラグジュアリーホテル「パーク ハイアット 京都」が昨秋に開業し、多くの外国人観光客が霊山界隈を行き交うようになりました。皆様もぜひ、新たな魅力溢れるこの地にお越しください。
最後に「幕末」ですが、今年も幕末を題材にした映画が上映されます。「燃えよ剣」と「峠 最後のサムライ」です。偶然ですが、昭和四十五年と同じく司馬遼太郎作品です。前者は新選組副長 土方歳三が、後者は長岡藩家老 河井継之助が主人公の映画です。霊山歴史館は土方・河井関連の資料を収蔵していますので、映画公開に合わせた展示により、多くのお客様にご来館いただけるよう、準備いたします。

このように、昭和四十五年と令和二年はともに、グローバルに日本を発信する行事が観光客を呼び、さらにその日本の基礎をつくった時代=幕末に思いを馳せる、という共通点があります。霊山歴史館も、令和の新しい時代に対応しながら飛躍を遂げるべく、職員一同、努力してまいる所存でございます。

今年が皆様にとりまして輝かしい年になりますよう、お祈り申し上げますとともに、より一層のご指導・ご支援を賜りますようお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

                           公益財団法人 霊山顕彰会
                           理事長 中村 邦夫